歳を重ねるうちにフツーのことになっていく
2026/5/25
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Diary
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Life

今週は寒くてしまった電気ストーブをまた引っ張り出してきてしまう。
だけど、一人きりの部屋で、小さなオレンジ色の灯りをともし、足や背中をあたためている、この感じがわたしはけっこう好き。すごく安心する。
安心するといえば、ここ数日、なつかしい人にたくさん会って、そのたびに「ああ、安心するな」という気持ちになっていた。
5年とか10年とか、あっという間なんだなと思う。その間にみんなそれぞれいろんなことがあって、中には知らぬ間に2回めの結婚をしてそして離婚していた人なんかもいて、だけど会えばあの頃のように、にこにこしながら再会を喜び、言葉を交わせることを、“友情”と呼ぶのだろうなと思う。
実際調べてみたら、“友情”とは、「お互いがお互いを信じあい、大切に思いあう気持ちや関係性」のことらしく、それってなんて安心なことだろうと思う。
私はなんでも「過ぎ去ったあと」というのが好きで、例えば、台風雨の後、大雪の後、運動会の次の日とか、そういうほうが好きだった。あかるいしんみり、みたいな、そういう感覚。

この週末、敬愛する編集者の山若将也くんの著書「いそがない冒険」の出版記念トークイベントがあった。ゲストのおみゆちゃんこと小谷実由ちゃんとは友人ということもあって、司会進行役をご依頼いただき、ドキドキしつつも引き受けることに。
二人の言葉、対話は、素晴らしく面白くなることがわかっていたので、あんまり心配しすぎずにいこうと思っていたのだが、結局気負ってしまっていたようで( だめだなあ)、前日はかなり緊張してあまり眠れなかった。
それでも素敵な二人のおかげでイベントは和やかに進み、きてくださった人も笑顔だったので良かった(だけど私自身は反省するところ多々)。みんなでお疲れ様を言い合って、賑やかな会場を後にして一人になると、“あかるいしんみり”になった。歩いていた場所が、10代20代によくよく歩いた代官山ということもあって、なんだかいろんな思い出まで降りかかってきて、「人生って不思議だな」と果てしない気持ちになってしまう。
それで久々のトーキョーで買い物!みたいなムードにもなれず、ぼんやりワインだけ買って、ぼんやり電車に乗り、ぼんやり鎌倉まで辿り着いて、ひとり家で飲むことにした。
そして今、ストーブの小さなオレンジの灯りを見つめながら、じんわり今日のことを噛み締めている。一人だけど、ひとりじゃないよなとあたたかい気持ちになりながら。
ちょっと酔っ払って、そうだとそうだとバッグに入れっぱなしにしてまだ読み切っていなかった益田ミリさんの漫画「ツユクサナツコの一生」のことを思い出し、おもむろに読みはじめる。最初はほのぼのしたいつものあの感じだったはずが、まさかの展開になって、ガーンとなりながら、やっぱり「人生って不思議だな」と思う。
そう、「人生って不思議」なんだ。大仰なことだと思っていたことが、歳を重ねるうちにフツーのことになっていく。愛とか生きるとか死ぬとか。例えば、友達に、ずっとずっと、信じているよ、大切だよと、たやすく言える人でありたい。生きることも死ぬことも地続きだ。美しさも醜さも、幸せも不幸もそこらじゅうにある。そういうことを、ヘラヘラしながらも大切に言葉にしていきたいなと思う。そんな夜。




